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船橋の尾瀬再訪


印西市での庭工事再開の予定でしたが、雨が残りそうだったので空け。ともあれ元々予定していた芝購入に北総へ。こちら八千代市の芝専門の高津植木園さん。

 

この後向かうところでの予備知識として、安原修次さんが著されたこの本。長い間公立の学校の先生を勤められながら、刻一刻と失われていく千葉県の自然の風景に心を痛め、教員を辞して植物写真家に転身し、花を中心に貴重な写真をたくさん残してきました。絶版ですが図書館などで借りられると思います。

 

著作権的によろしくないのは承知で、コオニユリやサワギキョウ、カキランなどが紹介されているページを載せます。今では信じられませんが、船橋市にもつい最近まで豊かな環境が残っていたことを伝えたい。文章にもあるように、これらの植物は1980年代終わりから1990年代中頃には全て姿を消してしまいました。他にノハナショウブやキキョウもみられたそうです。(クリックで拡大します)


さて、その安原さんが名付け、上に書いた植物がみられたという船橋の尾瀬へ再びやってきました。打ち捨てられたゴミだらけの景色にのっけから結構凹む。


水がチョロチョロと流れ、景色的には素晴らしいもののように見える湿地。けど、本当にここにカキランなんかが生えていたのか??と思っちゃうぐらい、著しく劣化した植生しか見られません。虫が少ないな〜というのも実感します。


湧水が染み出すまさにそこに建てられた水神の祠。安永二年と刻まれる。西暦で言うと1773年。ちなみにこちらの姿はジオラマとして、千葉県立中央博物館に展示されていて、ちょっと前のあっ!摩耶蘭と言う日記で触れています。


当時の写真なんかと比べてみても、見た目的にはそんなに変わっていないように見える。植生は徐々に悪化していったようだけど衰退してしまう原因はなんなんだろう。水質の変化?周辺の開発?盗掘?いずれもあまりピンとこない。種は眠っていると思うので、遠い未来に環境が回復し、それを察知しての復活を祈る。


周囲の現在の環境や歴史の痕跡なんかを見て回ると吉です。参考にどうぞ。この時も芝買いに行ってるな・・。


こちらは先日、多古光湿原を訪れた時に撮った写真。日記には載っけていなかったサワギキョウです。ちなみにカキランについては、6月に書いた柿蘭と視聴覚という日記にて観察しています。場所は千葉県内としか言えず、秘密です。


それこそ、本物の尾瀬ヶ原湿原では多くの花を咲かせるサワギキョウ。過去日記を探ってみたところ、サワギキョウの写真をタイムリーに載せたものがなさそうだったので改めて。それぞれ昨年の8月終わりと2018年の9月初めに多古光湿原にて。2017年段階では成東・東金湿原でも少数がみられたそうですが、2020年にはついに全ての個体が枯死し、多古光湿原が千葉県最後の自生地となってしまいました。

多古光湿原にみられる自生株はおよそ100個体。しかし遺伝的多様性は徐々に狭まっていて、種子繁殖の能力を失っているそうです。この状況は結構リスクがあり、ウイルスや細菌などが要因の病気が発生すると全個体が一斉に枯死する可能性があります。一方で、生物を進化させる役割となるのもまたウイルス。ウイルスによって遺伝子への侵入および変異が起こされれば、種子を作る能力を新たに獲得するかもしれません。生か死か、こればっかりは自然の流れに任せたい。